ーーTVアニメ『継母の連れ子が元カノだった』の魅力や面白さはどんなところにあると思いますか?
下野 タイトル通りなんですけど、この設定がまず面白いですよね。好きな子がひょんなことからきょうだいになるみたいなところに、どこかで憧れていましたから。
岡本 へ~。
下野 へ~って! 男同士、共感してくれるかと思ったら!
日高 これは、みんなにどう思うかを聞いてみたかったんです!
岡本 好きな子と恋愛できなくなっちゃうのはツラいと思ったかなぁ。
長谷川 結婚はできるんですかね?
下野 血はつながっていないからできるんじゃないかな。ただ倫理的に、世間的にっていう気持ちの問題はあるかもしれないけど。でも、元カノで、かつお互い嫌い合っていたわけではなく別れたと考えると、僕は憧れを持っていたんだけど……。
岡本 なるほどねぇ。
日高 でも、やっぱりどちらかというと切ないですよ。
富田 私も切ないなと思ってしまいます!
日高 だよね!
岡本 俺もやっぱりそっち側だけどね(笑)。
下野 いいよ、別に! ひとりになったからって自分を曲げないからな!(笑)。
岡本 気持ちはわかりますよ。ドキドキ感とかもあるだろうし……。
日高 まぁ、ドキドキ感はあるかもしれないけど。
下野 急にフォローしてもらうと余計に傷つく(笑)。でも、自分が演じている水斗の気持ちも、思春期の頃の自分を思い出すと、わかり味が強いんですよね。
日高 下野さんと現場でよく話していたんですけど、二人の嫉妬の仕方がリアル感があるというか、生々しさがあって、「わかるな~」って思ったんですよね。
下野 そうそう。二人だけでなく、各キャラクターを見ても、自分に落とし込める何かがあったりするんだよね。共感性や身近さが『連れカノ』のキャラにはあると思う。
富田 水斗と結女は二人ともすごく頭が良くて、モノローグも多いんですけど、それがアニメでも反映されていたのが見ていて楽しくて。そこもひとつの魅力だと思いました。
下野 結構言葉遊びというか、普段聞き慣れない言葉がたくさん出てくるんだよね。簡潔に言うとこういうことだよね? もう少しシンプルに言ってよ!っていうセリフがあったので、そこも面白さだと思う。
ーーそして何よりキャラクターがみんな個性的なのも魅力だと思います。ただ、みんなちょっとずつザンネンなところもあると思ったので、一人ずつ掘り下げていきたいのですが、まずは、伊理戸水斗から。
下野 ザンネンなところから言うと、自分の感情や思いを、あまり表に出さない部分があるんです。それを出すこと自体に抵抗があるし慣れていない。それをもう少し表に出せていたら、こんなにこじれなくて済んだんじゃないかって思います(笑)。
ただ、同時に表に出すのが苦手なだけで、ただ単にクールで冷たいわけではないんですよね。優しさや思いやりが垣間見れた瞬間に逆のことをしてしまったりするけど、実は優しいし、つまらないヤツでもないと思っています。
岡本 台本とか文章だけを見ると、意地悪な感じに見えたりするんだけど、下野さん特有の甘めな声のおかげで人間味が足されていてイヤな感じがしないんです。
日高 うんうんうん!
岡本 どこか少年感、思春期っぽさがある。
日高 思春期感はめちゃめちゃある!って思いました。
(下野さん、顔を覆う)
岡本 思春期声ですもんね?
下野 待って! 今、水斗の話をしてるんじゃないの?
日高 いい意味での思春期感ですよ? いい意味で(笑)。
下野 それっていい意味で、なの?
日高 揺れ動いている感じが絶妙なんですよ。
岡本 固い声だとトゲが出ちゃうけどっていう話です。
長谷川 セリフとしてはそっけなくても、温かみが感じられる場面がすごく多かったです。
下野 他の人に対しては冷静に話すところがあるけど、結女に対しては子供っぽさが出てくる感じがあって。結女に対しては素直にいろんな面を出せているのかなぁって感じはしたかなぁ。
岡本 好きだからこそ。
日高 あと、モノローグも素敵だなと思いました。結女に強がって言っちゃうときも、実はもやもやしてるんだよ!っていう本当の感情が見えるから、そのバランスが良かったです。
ーー続いて、伊理戸結女はいかがですか?
日高 結女はもともとは地味っ子で、水斗と同じように頭も良くて読書も好きなんですよね。でも高校デビューということもあって、過去と今で印象が変わるんです。ただ、どこか抜けきれないオタク感というのはザンネンでもあり、かわいさにもつながるのかなって思います。あとツンツンしているけど、危なかっしさがあるので、そこは守ってあげたい感じになるし魅力だと思います。第1話でも、自分で誘惑しに行ったのに、自分があたふたしたりしていたし(笑)。
下野 そこもザンネンであり、かわいい部分なんだよね。結女って目的が見えた瞬間、そこに向かって一心不乱に進んでいっちゃうんだよね。それまでの過程とか自分の状況を無視しちゃう。水斗を誘惑してボロを出させてやろうとしたんだろうけど、自分がボロボロ出てますけど、大丈夫ですか?って言いたくなっちゃう(笑)。
富田 いつもやってから後悔しているんですよね(笑)。
日高 そうなんですよ……。
下野 俯瞰で見れる目を持っているはずなのに見れなくなる瞬間があるんだよね。
ーー学年1位なんですけどね……。
日高 頭はすごく良くて、努力家ではあるんですよ。だから女の子に対する対応はすごく良くて、女子から見ても、良い女性だと思うんです。女性もグッとくるポイントはあるし、女子から見てもいやらしくならない感じがあります。
長谷川 暁月とのシーンで素の部分が出てくるんですがその時もかわいいんです。学年1位だし、普通なら近寄りがたい印象がついちゃってもおかしくないポジションなのに、友達に慣れていなくて、怒ろうとして照れちゃうところとか、スキを見せてくれるところがすごくかわいいな!って思うんです。近寄ってもいいんだ!って。
ーーだからと言って、やっていいことと悪いことがあるはずなのですが……。そんな南暁月さんは?
長谷川 暁月の良いところを先に言うと、誰にでも明るく接することができるんです。初対面でもグイグイ行けるというのは良いところだと思います。でも最初、めちゃくちゃ結女ちゃんの胸を見てたけど……(笑)。
日高 見てたー!
岡本 まぁ、エネルギッシュだよね。
長谷川 ザンネンなところは明確にあるんですけど、放送前なので、そこを楽しみにしていただければ(笑)。
岡本 でも、個人的にはザンネンな部分も好きかなぁ。
長谷川 そうなんですか! あれ、ウェルカムな感じなんですか?
岡本 別に嫌いではないし、そんなに気にしない。
下野 いや、でも結構だったよ(笑)。ある意味、軽犯罪だから。
岡本 それも「ダメだよ~」って言って終わりかなぁ(笑)。
下野 そうなんだ! ただ全部を前向きに考えられるから、そのポジティブさは魅力だよね。こういうふうにしたいから、そのためにはきっとこうしたほうが喜ぶ!って思って行動に移す。それが人によっては「ちょっと…」ってなるかもしれないけど……。
岡本 そういう貪欲なところも、いいなって思う(笑)。
下野 そっかぁ。でも、できれば家の隣に交番はあってほしい。
岡本 セコムとかね(笑)。
富田 ただ突き抜けて明るいだけじゃないところが、人間味があっていいなって思いますけどね(笑)。
長谷川 そんなザンネンな部分はアニメを見ていただいて「これか!」って思ってもらえればいいなと。かわいらしく描かれているんですけど、よくよく考えたら「あれ?」ってなると思おうので。
岡本 ホラーに近くなるからね(笑)。
下野 そうそう。絵柄が変わったらホラーなんだよなぁ。
ーーそんな暁月を受け入れられる岡本さんが演じているのが、川波小暮です。
岡本 僕は大丈夫なんですけど、小暮はそれがダメだったんです(笑)。小暮は陽キャ風でありつつ、陰キャな部分も持っていそうな存在だと思っています。良い部分は、将来ボランティア活動ができそうなところ(笑)。人のために何かができそう。
長谷川 確かに! 何でもできそう(笑)。
岡本 優しい心を持っていて、人のために力を発揮することができるタイプだと思うんです。自分で恋愛はロム専って言ってたけど、ロム専って今じゃあまり聞かない、平成で聞いた言葉ですよね。でも観測者でありたいところとかは、毒にも薬にもならないポジションとして、いいキャラなのかなって。
下野 メンタルはクソ強いよね!
岡本 そのメンタルの強さを持ってしても……だったんですけど(笑)。
下野 もしかしたら、そのメンタルも暁月で鍛えられたところがあるのかもしれないけどね。そう考えるとまだまだ伸びしろがあるし、これからも可能性があると思う!
岡本 女性陣からしたら、小暮ってどう?
(沈黙)
日高 ……そうですね……。
下野 さっきまでの勢いはどうした!
岡本 やっぱり面白みに欠ける?
日高 友達にいたら、いいかな……。
富田 いい、男友達?
長谷川 話を聞いてもらえそう!!
岡本 やっぱりそうかぁ。世の男性陣には、今の話を参考にしてもらおう。
下野 世の男性陣が「わかるわかる、お前のポジショニングわかるよ~。俺もそう!」って思っている可能性はあると思うな。
岡本 だから小暮っていい人で終わっちゃうんですよね、そこを反面教師にしていただきましょう。
下野 でも水斗からすると男友達は川波くらいしかいないからさ。
岡本 確かに。強く当たられても大丈夫な感じはしますからね。
下野 受け止めた上で返してくれるから、いい友達なんだよ。男しかフォローできなくて申し訳ないけど(笑)。
岡本 おかしいな……。
ーー続いて、途中から登場の東頭いさなですが、結構インパクトがあるキャラクターでした。
富田 スーパー・ド陰キャなんですけど、かわいいところは恋愛経験がゼロだったゆえに、水斗とは何かと距離が近いんです。天然で距離を詰めれるところが、傍から見て初々しいな、かわいらしいなって思えると思います。
コミュニケーション能力がずば抜けてないので、水斗とはしゃべれるけど、対結女とか対暁月になると、急に声が小さくなっちゃったり、目を合わせられなくなっちゃったりするんですよ。そこはかわいいけどザンネンなところではありますね。
下野 いきなりの登場で、いきなりの衝撃だったよね。
長谷川 でも女子として、身近にいてほしいタイプかと言われたら、ちょっと微妙じゃないですか?
下野 リアリティのあるトーンで言わないで!(笑)。
長谷川 でももし、私が水斗のことを好きだとしたらって考えると……。
日高 確かにそれはあるね!
富田 そうなんだよね……。
長谷川 本人は「いやいや、友達だから」って言っても、友達の距離感じゃなくない?ってなるじゃないですか。
日高 結女と真逆で素直だから、コミュニケーション能力は低いけど、いったん心を開いたら全力で進んでいけるのが結女的には羨ましいんだろうなって思いました。でも、あんな距離感近くいられたら、女の子からすると「敵わないな」ってなっちゃう気がする。
長谷川 しかももともと持っているポテンシャルも高いじゃないですか!
日高 体的なね!
富田 そうなんですよ、高いんですよ! 映像になって、そのポテンシャルがより生かされている感じがしました。
日高 男性陣から見たら、いさなみたいなキャラクターはどうなんですか?
岡本 ストレートな物言いだから、女性との心理戦に負ける男としては、そういうところがないのはありがたいかもしれない。「察して」がない分、わかりやすいし。
下野 確かにね。ただ好きになって彼女にしたいと思ったときに、こちら側の真意をわかってくれない可能性もあるよね(笑)。
岡本 あと、彼氏彼女になったとして、そのすべてを悪気なくどこかで話してそうな気もする(笑)。
下野 そういう意味では難しいかもね(笑)。
岡本 カップルになったとして、もし男友達ができたら、その男友達とどんな距離感になるのか、とか考えると不安だし。
日高・長谷川 確かに! それはある!!
富田 だって初登場回で、水斗に靴下を履かせてもらっていましたからね。
下野 あれ、水斗じゃなくてもいいわけだもんね?
岡本 あれは男は勘違いするよね。
ーー途中からの登場ですが、かなりインパクトがあって、視聴者の心をつかむんじゃないかなと思いました。
富田 これはすごくプレッシャーだったんですけど、初めての収録のとき、「原作で一番人気のキャラなので、お願いします」って言われたんですよ。
長谷川 やっぱり、ささるんだ!
日高 みんな好きなんだー!
下野 邪な考え自体がないってところに惹かれる部分があるんだろうね。あとはやっぱりポテンシャルの高さ(笑)。
富田 私服はものすごくダサいんですけど、彼女は磨けば光るんですよ(笑)。
日高 そういう伸びしろもあるから、ずっと側で見ていたいところはあるんですよ。結女としてはライバル的なポジションだし、最初はモヤモヤしたけど、一緒に買い物とか行ったりすると、すごく喜んだりしてくれるから、妹にしてみたくなるんですよね。無邪気でかわいらしさがあるから、人気があるのもわかるなぁって思います。
ーーいよいよ放送がスタートします。最後に、それぞれ見どころをお願いします。
富田 途中からの合流になるのですが恋愛経験ゼロのいさなが、男友達の水斗や元カノの結女と触れることによって、人間的にどう変わっていくのかを見ていただきたいなと思います。作品全体を通して、くすっと笑えるところや、見ていてドギマギするところもあるので、最後まで見ていただき楽しんでもらえたらと思います。
岡本 タイトルだけ知っている方が第1話を見たとき、このタイトルがすべてを物語っていることがわかると思うんです。ある意味出オチで、そこに強いインパクトがあるんですけど、そのあとどうなっていくのかが、新キャラが登場することによって描かれていくんです。それらすべてがテンポの良さだったり、面白い心理戦につながっていくので、毎話毎話楽しんでいただければと思います。
長谷川 この作品って、水斗と結女の会話劇が凄まじいんです! そこをとにかく楽しみにしていただきたいというのと、その脇を固めるメンバーもとっても個性的で、私が演じさせてもらっている暁月もいろいろな秘密が隠されているんです。そこはアニメを見て、暁月がどう伊理戸きょうだいに関わっていくのかを楽しみにしていただければと思います!
日高 設定もそうですし、脇を固めるキャラクターもそうなんですけど、個性が強いんです! あとはリアル感というか、この子のこの気持ちわかるなぁって共感できる部分がいろいろなところに散りばめられているんです。設定がトリッキーだとしても、女の子たちはかわいくて、男性キャラもどこか愛くるしさがあるんですね。くすっと笑えるところもあれば、切なかったりグッとくるポイントも、最終話あたりでは特にあるので、最後まで応援していただければと思います。
下野 皆さんが言った通りなんですけど、個人的には、どこか懐かしさも感じていて、そういったところをコミカルかつ衝撃的に描いている作品だと思うんです。ひと言で『連れカノ』の魅力を語ることが難しいくらい、いろんなことを感じられるし、いろんな共感が得られるし、笑えるだけでなく、切ないポイントもたくさんある。そんな魅力溢れる作品なので、男性でも女性でも、ご年配の方でも楽しめると思います! たくさんの方に見ていただければ嬉しいです。よろしくお願いします。